弁護士 味村祐作の公式ブログ

インドネシアの刑事裁判

2月13日、中央ジャカルタ地方裁判所で、ガルーダ・インドネシア航空の前社長の汚職事件に係る裁判がありました。参考記事

私自身は、本裁判に関わっていませんが、インドネシアのパートナー事務所であるLMPPのLuhut弁護士やTogi弁護士らが、前社長の弁護人に就任しているので、証人尋問を傍聴してきました。

 

今回は、インドネシアの裁判傍聴や裁判についての感想を、徒然と書いていきたいと思います。

 

まず、インドネシアの裁判の特徴として、待機時間が異常に長い点があります。

今回、開廷時間は、午前10時と定めれておりましたが、実際に裁判が始まったのは、午後1時30分頃でした。3時間30分の遅れですが、これでも、まだ良い方とのことです。
これまで一番酷かった場合で、午前10時の開廷予定が、午後5時になったことがあったとのことです。

この間、いつ呼び出されて開廷するか分からないので、お昼休みを除いて、裁判所を離れるわけにはいかず、弁護士がひたすらベンチで待機するという状況が続きます。

(中央ジャカルタ地方裁判所の1階ロビー)

 

これは、タイムチャージで換算すると、顧客には恐ろしい話です。
仮にタイムチャージを1時間3万円とすると、弁護士4名で、1時間あたり、12万円の費用が発生することになります。それも、待機だけのために。。。

因みに、Luhut弁護士やTogi弁護士のタイムチャージは、1時間3万円ではとても足りません。

 

では、なぜこのような待機時間が発生するのかということですが、あまり定かではなく、裁判官が事前に協議しているとか、別事件が長引いているとか、単に到着が遅れている(交通渋滞が酷いため)とかそういうことなんだろうと思います。

頑張れば、日本のように定時開廷が可能なのでしょうが、これが実情ですので、もはや受け入れるしかありません。。。

このように異常な待機時間の発生には、インドネシア司法特有の事情があるのかもしれません。

インドネシアでは、裁判官が書いた判決に意見することが御法度とされており、日本のように判決に対して学者が解説を書くことができません。

公表されている判決で、特に先例的価値が高い部分に下線を引いて出版してはどうかという話をしたことがありますが、その際にも、下線を引くこと自体に難色を示された経験があります。

このようなインドネシア司法特有の事情もあってか、裁判が定時に開始されなくても、なかなか誰も苦言を呈することができず、それによって、定時に始まらない運用が続いているのではないかと思います。

 

他方で、インドネシアの裁判所では、日本と比べて、電子化が進んでおり、基本的に全ての判決はインターネットで公表され、裁判手続きの進み具合もインターネットで確認可能という側面もあります。裁判書面の提出も、インターネット経由でできるようになったと聞いております。

 

さて、話を裁判傍聴に戻しますと、証人尋問で印象的だったのは、証人による宣誓の仕方です。

各宗教に応じた宣誓のやり方があり、写真のイスラム教徒グループの方はコーランらしきものを頭に掲げられた状態で、宣誓しておりました。

 

次に、キリスト教徒らしき方が証人する際には、聖書らしきものが掲げられておりました。宗教ごとに使うアイテムが違うため、別々に宣誓が実施されていました。

開廷前、裁判官席の机上に複数冊の書籍が置かれていたので、何かと思っていましたが、宣誓に使うアイテムでした。

 

なお、日本では証人尋問の時間が予め決められており、大幅にそれを超えることはできないのですが、インドネシアでは証人尋問に時間制限がないとのことで、時に深夜まで続くことがあるとのことです。

ですので、インドネシアでは、実際に裁判が何時に始まり、また何時に終わるのか非常に予測しづらいです。

今回は、午後1時30分頃に実際に開廷し(予定では10時開廷)、午後5時に終わったので、確かに良い方と言えます。

ちなみに、長時間待機した後、裁判官の都合により、開廷されないということもあるとのことです。日本からの出張者が証人になるような場合には、そのような可能性も事前に説明しておく必要がありますね。。。

 

その他、形式上、日本の裁判と違う点は、インドネシアの裁判官が、木槌(ガベル)を使っていたところです。日本の裁判所では使われていないので、新鮮でした。

また、刑事裁判では、弁護人も、黒いローブを使用しています。

以下の写真で、右側が弁護人席ですが、何名か黒いローブをまとっております。

当日は、午前11時過ぎに法廷が開錠され入室して、裁判官の入室を待っていたのですが、実際に裁判が始まったのが午後1時30分頃だったので、途中でローブを脱いだ弁護士が多数いました。

 

これが、インドネシア裁判の実情ですので、インドネシアで裁判に参加する場合には、「忍耐力」が必要です。

 

※上記は、筆者の見解を交えた説明であり、個別事例への適用については一切の責任を負えません。個別の案件に関しては、別途ご相談ください。

弁護士 味村祐作

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