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契約書でのインドネシア語使用義務

2019年9月30日、「インドネシア語使用に関する大統領令2019年63号」が制定・法制化され、同日付で施行されました。

ただし、一般人が同大統領令の存在を知ったのは、10月9日の新聞記事でしょう。

インドネシアあるあるの一つですが、新しく法令が施行されたとしても、一般人はおろか担当官でさえも、その新法令の存在や内容を知らないことがあります。

 

さて、今回、同大統領令の施行により、インドネシアにおける契約締結実務が少し変わると理解しています。

 

「国旗、国語、国の紋章及び国歌に関する法律2009年24号」第31条1項より、従前から、インドネシア当事者と契約を結ぶ際には、インドネシア語を使用する義務がありました。

 

ただし、実務上、まずは英語などの外国語で契約書を作成し、事後的にインドネシア語に翻訳するという運用で足りると解釈されておりました。

なお、上記法律第31条1項及び同2項の文言は、新しく制定された上記大統領令第26条1項及び同2項と一言一句同じです。

 

しかし、同大統領令第26条3項は、外国語及び/又は英語が、インドネシア語の対訳又は翻訳として使用されると記載されたため、契約締結時点において、契約書をインドネシア語で作成する義務があり、事後的にインドネシア語に翻訳することでは対応できないとの見解が、見受けられるようになりました。

 

したがって、今後、インドネシア人、インドネシア法人と契約を締結する際には、契約締結時点で、インドネシア語で契約書を用意しておくことが安全であると考えられます。

 

インドネシア語使用に関する大統領令2019年63号の翻訳抜粋

第26条1項 インドネシア語は、国家機関、インドネシア政府機関、インドネシア民間機関、又はインドネシア国民が関与する覚書又は契約に使用されなければならない。

2項 外国人が関与する第1項規定の覚書又は契約は、当該外国人の国語及び/又は英語でも記載される。

3項 第2項規定の外国人の国語及び/又は英語は、外国人と覚書又は契約の理解を同じくするため、インドネシア語の対訳又は翻訳として使用される。

4項 第3項規定の対訳又は翻訳に対する解釈が異なる場合には、使用言語は、覚書又は契約で合意された言語となる。

 

 

※上記は、筆者の見解を交えた説明であり、個別事例への適用については一切の責任を負えません。個別の案件に関しては、別途ご相談ください。

 

弁護士 味村祐作

 

P.S. 写真は、プラウスリブにある銀の島、Pualu Perak (Silver Island)です。売店があって、近くに来ている観光客が立ち寄る島です。4年ぶりに訪問してみました。外国人は、少なく、インドネシア人のお客さんが多い島ですね。

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