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インドネシア法令調査

本日は、インドネシアでの法令調査について、一般的な話を書きたいと思います。

ここ数年では、ドローンの持ち込みなどに関する規制がよく話題となっていますが、これは、また別の機会に。

さて、インドネシアでビジネスを行う場合、インドネシアの法令を遵守することは必須です。

もっとも、インドネシアで関連法令をきちんと調べることは、以下の事情があり、それほど簡単ではありません。

(1)インドネシア語 

インドネシアの法令は、基本的にインドネシア語で記載されており、一般に政府から英語等の翻訳は提供されていません。なお、「基本的に」と書いたのは、実は民法や商法は、オランダ植民地時代に制定(1847年4月30日公布)されたものを現在も使用しており、オランダ語のままとなっています。インドネシア人も、インドネシア語や英語に翻訳して使用しています。冒頭写真の書籍は、商法や会社法の英訳本です。

(2)法令へのアクセス  

一部の法令はWebで無償公表されていますが、そうでない法令も多数存在します。有料情報サイトを活用すれば確認できることもありますが、それでも確認できない場合には、担当官庁に照会する必要があります。

なお、法令には、法制化日(制定日)、施行日、公布日が記載され、官報に掲載されます。施行日は公布日と同日であることが多いです。

しかし、実際には公布日になっても、官報や管轄官庁のWebサイトに掲載されず、一般には確認できないことが少なくありません。

私が大使館で働いていた際に改正動向を注視していた法令でも、公布日から相当期間経過した後に、初めて内容を確認できたものがありました。当該法令に記載された公布日・施行日を確認すると、実際に確認できた日よりも、相当以前に当該法令が公布・施行されていました。

上記のような場合、法的には、法令が公布され、かつ法的に施行されているにも関わらず、実際には一般に知られておらず(現場の行政担当官さえも知らず)、事実上施行されていないという状態が存在します。非常に違和感のある状態ですが、インドネシアではしばしば生じる事象なので、そういうものだと理解する他ありません。

(3)法令内容の不明確性  

インドネシアの法令に限ったことではありませんが、法令の記載は抽象的です。これから行おうとしているビジネスに、当該法令が適用されるか否かが不明確であることは多いです。インドネシアの法令の特徴として、法令の条項に加えて、「注釈」が法令の一部として制定されます。もっとも、注釈に「自明」と説明されていても、依然として不明確であることは少なくありません。

内容が不明確である場合、最終的には、最高裁判所の判決で決定されることになりますが、事前に、当該法令の監督官庁に行政見解を確認しておくことが大切です。

日本の省庁の場合、電話をすれば一定の回答を得ることができますが、インドネシアでは、まず監督官庁に電話がつながらないことが予想されます。最終的には、担当省庁を直接訪問せざるを得ないこともあります。

また、インドネシアでは、特に大臣令において事前のパブリックコメント手続きがなく、突然制定されることがあります。

かかる法令も、適法に制定されている法令ですが、業界団体や各国政府によるロビーイングの結果、監督官庁が、当該法令の不都合性を認識し、事実上、当該法令を適用しないという運用を行い、その後、改正することがあります。

このような運用の有無については、法令の内容だけを確認しても分からないので、監督官庁の担当官等に直接確認する必要があります。

以上のように、インドネシアの法令調査においては、言語面の問題がある上に、そもそもの法令を入手することが難しい場合があり、また法令の記載内容と実際の運用が異なっていることがあるので、専門家による事前の調査が大切です。

※上記は、筆者の見解を交えた説明であり、個別事例への適用については一切の責任を負えません。個別の案件に関しては、別途ご相談ください。

弁護士 味村 祐作

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