インドネシアにも、著作権法(著作権に関する法律2014年第28号)があり、著作権は保護されています。
しかし、数年前までジャカルタの至るところに海賊版DVDショップが存在しており、著作権?という状態でした。
2019年1月5日付けジャカルタポスト記事によると、2年前には海賊版DVDショップがジャカルタの有名ショッピングモール各所で見られてたが、現在は、見られなくなったとのことです。
私の実感としても、現在もブロックMの道端などでは海賊版DVDが売られていますが、ショッピングモールでは見なくなりました。
その原因については、当局による取締りの強化や2014年改正で導入された著作権法10条( 著作権侵害商品の販売禁止に関する商業施設管理者の責任 )の影響が大きいのかと一瞬考えたのですが、どうやら違うとのことです。
同記事によると、そうではなく、2017年以降に安価なネット配信業者(違法配信を含む)が出現したため、海賊版DVDビジネスが以前ほど儲からなくなったからとのことでした。
数年前、日本のアニメ関連会社の人と、インドネシアに海賊版DVDが跋扈しており、ほとんど取締りがないと話していたとき、「海賊版より安価で供給すれば良い」と言われ、ビジネス的にどうやるのかと思っていましたが、既にネット配信を通じて実現しています。
今後は、ネットでの違法配信の取締まりが主戦場になってきそうです。
インドネシアでも、著作権法55条により、「 著作権侵害サイトのブロック」が想定されており、違法配信に対する法的手段は用意されています。
模倣品対策としては、刑事罰を重くするなどの法規制や上記サイトブロックや損害賠償請求などの法的対応が考えられる一方で、ビジネス的に駆逐していく手段の方が実効性が高いのかなと感じました。
もっとも、上記のようなビジネスブランが描けるまでは、地道に、法的手続きに基づき削除やブロック、損害賠償請求を行っていく他ないので、やっていこうと思います。
以下は、2015年9月18日ブログ記事の移管です。
書籍事情(著作権に関する実状)
インドネシアにおける著作権保護の実状についての雑感です。
あくまで、私が見聞した事実であって、これが一般的な実状か否かは定かではありません。
最近、講義で参考書籍がいくつか紹介されたのですが、なかなか書店で見つけられず困っておりました。
私が、友人に、参考書籍を買いたいので、どこで売っているのか教えて欲しいと聞いても、「わからない。」との回答がほとんどで、たまに「紀伊国屋書店」と教えてくれるのですが、実際にジャカルタ最大の紀伊国屋書店(プラザ・スナヤン)に行っても、ありませんでした。
そうしたところ、たまたま当該書籍を持っている人を見つけたので、どこで買ったのか聞くと、「コピー」だというのです。
私は、コピーというと、特定のページを数枚印刷したものを想像していたのですが、そのコピーは、オリジナル書籍と見分けのつかない完全なコピー書籍(海賊版)でした。
聞いた話では、書店で売られている書籍は書店で買うが、売られていない場合は、誰かから借りて、コピー書籍を作るとのことでした。
一体、誰が、そのようなオリジナルと見分けのつかないコピー書籍を製造しているのかと思えば、外見もかなり立派な印刷会社が、堂々と町中で営業していました。
当然、費用も安く、オリジナル書籍の1/3程度の費用で、オリジナルと見分けのつかない海賊版が手に入るようです。
また、このような状況ですから、インドネシア政府は、この著作権問題に事実上対応していないようです。
この状況が、いつまで続くか不明ですが、インドネシアにも著作権法が存在し、民事・刑事責任を定めている以上、ある日突然、政府が法律を執行することがあるかもしれません。
P.S. 冒頭写真は、ジャカルタ近郊のサラック山(Gunung Salak)でのハイキング時に撮影。
弁護士 味村祐作
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