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インドネシアの成人年齢

写真は、ジャカルタにあるプラザインドネシアの最上階のレストランから、アンチョール方面(ジャワ海)を眺めたものです。撮影は1年前の2018年1月31日なので、最近は少し様子が変わっているかもしれませんね。

天気の良い日は海まで見えますが、スモッグ(大気汚染)で何も見えない日もあります。

以下は、2015年12月5日のブログ記事の移管です。

年齢

12月に入り、雨季も本格的になってきたようで、急に大雨が降り出したりします。
また、今学期もほぼ終わり、期末試験のシーズンになりました。

最近、ふとインドネシアの成人年齢などが気になったので、まとめてみようと思います。

インドネシア民法は、未成年者を21歳に達していない未婚の者(婚姻経験のない者)と定めています(民法330条)。ですので、インドネシアの成人年齢は、21歳です。

未成年者は、制限行為能力者(民法1330条1号)として民事的に保護されているので、未成年者による契約は、未成年者側から一方的に取り消すことができます(民法1331条)。

日本でも、20歳未満の者を未成年者として同様の保護がなされていますね。

話は脱線しますが、インドネシア民法が、既婚女性(民法1330条3号)を、制限行為能力者と定めている点は、興味深いです。はじめて、この条文を読んだ時に、非常に違和感を感じたので、調べてみると現在は適用されていないとのことでした。

民法108条によると、既婚女性は、夫からの補助または書面による同意無くして、(瑕疵のない)完全な法律行為を行えないと定められているのですが、伝統的にこのような考え方があったものの、現時点においては不当な考え方とされており、また旧宗主国オランダの法律においても、対応する条文が廃止されたことから、インドネシアの公証人は同条を適用していません。

また、1963年最高裁回状(法的拘束力なし)においても、民法108条が無効である旨の見解が出されており、下級審もこの見解に従っています。

話を年齢に戻します。

日本では、選挙権年齢について、法改正で18歳に引き下げられ、2016年6月から施行されますが、インドネシアでは、原則として17歳以上の者に選挙権があり、日本よりも選挙権年齢が低くなっています。また、婚姻経験のある者については、17歳未満でも選挙権が付与されています(選挙法19条1項  LAW OF THE REPUBLIC OF INDONESIA NUMBER 8 YEAR 2012 ON GENERAL ELECTION OF THE MEMBERS OF THE HOUSE OF REPRESENTATIVES, PEOPLE’S REPRESENTATIVE COUNCIL, AND REGIONAL HOUSE OF REPRESENTATIVES)。

婚姻可能年齢は、男性は19歳、女性は16歳(婚姻法7条  Undang-undang Republik Indonesia Nomor 1 Tahun 1974 Tentang Perkawinan )と定められています。※女性の婚姻可能年齢は、違憲判決をうけて、「婚姻に関する法律1974年1号を改正する2019年16号法律」により男性と同じ19歳に引き上げられました。

なお、この規定については、両親からの要請で、裁判所等により、例外が付与されることがあります。ですので、さらに若い年齢での婚姻も可能となっています。

これには、若年で妊娠した女性が未婚の母となることを避ける目的があるとのことです。また、地方では、年齢が正確に登録されていない人が相当数いたり、婚姻条件を年齢ではなく各人の成熟度ではかる考えがあり、婚姻可能年齢について議論があったので、制度上婚姻年齢の例外が認められています。

インドネシアには、現在も10代前半で結婚する女性がいて、児童虐待であるとして社会問題となっています。

日本との違いで驚いたのは、インドネシアには、飲酒と喫煙に関して年齢制限がないということです。

以前、日本でも、インドネシアの2歳児が喫煙しているということで話題になりましたね。

もっとも、私は、2015年8月~2018年8月までインドネシアに滞在し、特に2015年~2016年はローカル色の強く、小さい子どもの多い地域で暮らしたり、地方の村などにもたびたび訪れていましたが、小学生以下の児童が煙草を吸っている姿を見たことはありません。なので、喫煙児童が多いという印象はもっていません。

ただ、日本に比べると喫煙人口が多いのは、肌感覚で分かりますが。

インドネシアの人口の約9割はイスラム教徒で、彼らは飲酒しないと思っている方もいると思いますが、宗教上「酔っぱらうこと」が禁じられているようで、飲酒するイスラム教徒もいるというのが実情です。

イスラム教徒でも、飲酒するかしないかは、人それぞれという印象を持っています。

※上記は、筆者の見解を交えた説明であり、個別事例への適用については一切の責任を負えません。個別事例への適用については、別途、ご相談ください。

弁護士 味村祐作

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